【ペルシャ絨毯】六本木 PARS – 株式会社パース

ペルシャ絨毯とは

ペルシャ絨毯とは About persian carpets

ペルシャ絨毯。それは清らかな水と限りない太陽の恵みに育まれた珠玉の結晶。神の名のもとにいく年の歳月と、いく百万もの結びに込められたペルシャの民の祈りと憧れ。
今、時代を越え、国境を越えて苛酷な歴史に磨きぬかれてきたペルシャ絨毯が私たちの居住空間に広がります。
息を呑むようなシルクの光沢、暖かなウールの感触。
伝統と文化が刻まれた独得のデザインと色彩、そしてその巧みな織り技術は、世界中の人々に偉大な世界の文化遺産として生きつづけ、さらに次の世代に引き継がれていくことでしょう。

産地について

ペルシャ絨毯の生産地
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ペルシャ絨毯は古くからイランの数多くの町や村で織り継がれてきました。イスファハン、タブリーズ、カシャーンやクム、ナインなど代表的な産地をはじめとしてイラン全土にその数2000以上といわれています。日本の陶磁器の生産地でも地域によって作風に個性があるように、ペルシャ絨毯の産地もその素材やデザイン、色彩にそれぞれ独得の創造性を継承してきました。生産地の名前でよばれるのも日本の陶磁器のそれと同じです。

クム
わずか100年で得た、高度な技術
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クムは、首都テヘランから南へ120km、イスファハンへ行く途中にあります。北東部のマシャドの町とともに、二大聖都といわれており、僧侶が多いことに気付きます。カビール砂漠に近いため、夏は非常に暑くなりますが日本と違って湿気が少ないので、かえって快適なくらいです。主として農業を営んでおり、絨毯の歴史も他の町ほど長くはなく、わずか100年ほど前に始められました。しかしかれらの制作技術は、他の産地の数100年に匹敵するくらい高度なものであり、イスファハンと並ぶイランの代表的産地の一つになりました。特に絹の絨毯は世界的な評価を受けています。

イスファハン
16世紀の栄華をしのばせる伝統の町
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首都テヘランの南・約420km(飛行機で約1時間の距離)にあります。16世紀の頃、アッバース大王は、国境近く、敵の攻撃を受けやすいタブリーズからイラン中心部のイスファハンに首都を移し、この地に一大芸術文化を咲かせました。当時の栄華をしのばせるイスラム建築様式の建物が、町のいたるところに残っており、その美しさは写真家達によって世界中に紹介されています。絨毯の生産には、古くから高度な技術が発達し、イランを代表する見事な作品を生み出しています。その暖かな色合い、精巧な技術からは、この地の職人たちの抜群のセンスの良さを感じさせます。

カシャーン
各家庭で絨毯づくり、それは生活の一部
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カビール砂漠の西端に位置するため、夏は非常に暑くなります。このため、家の造りは、地下を掘って下へ下へと降りていく迷路のような形になっています。
この地方では絨毯は古くから、ほとんどの家庭で作られてきました。赤や紺といった原色のめりはりのきいた色づかいが特徴ともいえます。
絨毯と共に育ったイランの人々に最も好まれる産地の一つです。

ナイン
独特の色合いと柄で、人々の心をつかむ
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イスファハンの東150kmに位置する、砂漠の中にある緑の少ない町です。
以前は、イランの伝統的な衣服用の織物業が盛んでしたが、120年くらい前から、積極的に絨毯をつくり始めました。デザインは、地理的にも近いイスファハンに似ていますが、ベージュを基調とした落ち着きのある色彩が特徴です。前に一度でも見たことのある人なら、すぐにナイン産の絨毯であることがわかります。

タブリーズ
丁寧で落ち着いた柄に定評
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農業・牧畜が盛んで、古くは東西交易の中継地として大いに栄えました。
トルコとの国境に近いため、絨毯にもトルコ文化の影響が出ています。肖像画やミニアチュールなど、写実的に細かく織り込む技術を得意としています。おちついた深みのある色調が多く、中でもリーズマヒデザインの絨毯は良く知られています。絨毯に使われるウールは、この町の北部、マークと言うところで用意されます。

各部の名称について

 

①Risheh(リーシェ)=フリンジ(ふさ)
たて糸のこと。リーシェとはペルシャ語で「根」の意味もある。

②Shirazeh(シラゼ)=エッジ(ふち)
絨毯の一番ふちの部分。

③Labeh(ラベ)
絨毯の一番外側になる、単色の柄のない部分。

④Hashieh Kochack(ハシエ・クチャック)
小さなボーダー、メインボーダーをひきたたせるアクセント。

⑤Hashieh(ハシエ)=メインボーダー

⑥Zamineh(ザミネ)=フィールド
絨毯の主要部分での色・デザインはこの部分を言う。

⑦Toranj(トランジ)=メダリオン
絨毯の中心にあるデザイン。

⑧Sar Toranji(サールトランジ)=メダリオンの頭またはGhandil(ガンディル)
メダリオンをきわだたせるデザイン。一種のシャンデリアを意味する。

模様について

イスラムの装飾の特徴は、様式美と反復性にあるといわれます。ペルシャ絨毯も例外ではありません。しかし、そこには長い歴史の中での民族交流による影響も忘れてはなりません。
古代オリエント文明はイラン高原に及んでいましたし、ギリシャやビザンチン美術の吸収によってペルシャ中世のイスラム美術は、完成の極に達しましたが、ペルシャ絨毯の様式美もこの流れを基盤にしています。もちろん、中央アジアの人々の移動による影響、遊牧民と定住民との交流も見逃せない要素になっています。

 

1.ラチャック・トランジ
メダリオンを主体とし、そのメダリオンの1/4のデザインを四隅に配したバランスのよい美しいデザイン。

2.シャー・アッバス
16世紀サファビー朝のアッバス大王の名をとった、美しい花模様です。

3.アフシャン
フィールド部分にメダリオンのない、総花柄模様です。

4.デラヘティ
木・花・鳥・動植物の図柄を表現した、伸び伸びとした楽しい模様。

5.メヘラブ
イスラム教モスクにあるお祈りのための壁がん(メッカの方向に向いている)をモチーフにした模様。

6.ハンティング(狩猟)
昔、王侯貴族が楽しんだ狩の様子を描いた動きのあるデザイン。ライオン、山羊、オオカミやうさぎなどが描かれている。

7.ピクチャー(ミニアチュール)
ペルシャ古来の詩、物語、人物などを描いた密画のデザインを織り込んだもの。

8.ジョーシャガン
多くの菱形が幾何学的に組み合わされたデザイン。ジョーシャガン地方で古くから伝えられている。

9.エスリム
シャー・アッバス模様などのフィールド部分に描かれる美しい線唐草模様。先端には大きな口を開けたドラゴンを配すこともある。

10.ヘシュティ
モスクの壁面に描かれた木や動物など、様々な模様のモザイクタイルを規則的に配したデザイン。

 

11.ゴルダニ
様々な種類の多くの花をあしらった花瓶の模様。メヘラブデザインと組み合わされることが多い。

12.キャティベ
本来は、古く石の上や皮・木・タイルなどに描かれた四行詩、古いペルシャ文字や図柄を線で縁どりしたものをいう。

13.ミナハニ
タブリーズのミナハニというデザイナーが考案した有名な模様。バラミンで多く作られる。

14.ガービ
多くの仕切られたフレームの中に花園や楽園が描かれた模様。

15.ヤスィ
ジャスミンの木をモチーフにしたデザイン。

16.マヒ(ペルシャ語で魚の意味)
菱形のまわりの4枚の葉の形が魚に似ているので、こう呼ばれる。タブリーズ、サルーク、セネ、ビジャー、マラヤ、ホラサーン地方などで使われる。デザインの起源である町の名をとって、ヘラティーともいう。

17.ボッテ
ペイズリーとして知られるこの柄は、ペルシャを起源としたゾロアスター教の炎を表すという説もある。松ぼっくりやアーモンドの形、洋ナシなど様々な模様をいうこともある。小さな模様のボッテ・ミール、中位のサイズのボッテ・テルメ、代償を重ねたボッテ・ジェッゲなど、その形は様々である。

18.ハーチャンギ(ペルシャ語でカニの意味)
花の形がカニに似ているので、こういわれる。タブリーズやビジャー地方の古いデザインに多い。

19.ビーデ・マジヌーン
青年マジヌーンと娘レイリの揺れ動く心を、しなやなか柳の木にたとえたのが、このデザインの名の由来。

20.ジィル・ハキ
ペルシャ語で土の下という意味。土中より発掘された古い壷やグラスをモチーフにしたもの。

サイズについて

ペルシャ絨毯の大きさには独特の呼び方があり、それぞれの名称を呼ぶことでその大きさが判ります。

ポシティ(Poshti) 約90×60cm
ザロチャラク(Zaar-O-charack) 約130×80cm
ザロニム(Zaar-O-nim) 約155×105cm
ドザール(Do Zaar) 約210×140cm
パルデ(Pardeh) 約270×1700cm
キャレギ(Kalegi) 約300×200cm以上のもの
ガリ(Ghali) この呼び名は総称として絨毯という意味ですが、また別の意味で約300×200cm以上の大きな絨毯をこう呼び、そのおのおのの絨毯は実寸で呼びます。
ケナレ(Kenareh) 通常、廊下敷きのような細長い絨毯をいう。

その他、まれにではありますが、円形、楕円形、正方形といった変わったサイズの絨毯も作られています。

すべてが手織りーペルシャの心  ペルシャ絨毯が出来るまで

春の慈雨がイラン高原を濡らす頃、牧童たちは雨に洗われた羊毛を刈りとる準備に余念がない。
刈りとられたその毛から村の女が糸を紡ぎ、男達が鮮やかな色に染め上げる。
町の工房では意匠考案家が文様の構想に頭を絞っている。織工たちはたて糸を固く張った機(はた)の前に腰をおろし、何百万、何千万という結び目を作る作業にとりかかる。
彼らの確実ですばやい指の動きによって、色とりどりの草花やさわやかな緑樹、疾駆する動物達が誕生してゆく。長く単調な作業はやがて一枚のきらびやかな敷物となって遠い異国に運ばれ、人々の目を奪い、心を楽しませる。そこに息づくパルメットの花やアラベスクの蔓草は足に踏まれてなお輝き、樹木や小鳥は年を経てさらに生気を増す。

選び抜かれた良質の素材

ペルシャ絨毯の写真

ペルシャ絨毯の心地よい肌触りや光沢は、その良質の素材によります。最も贅沢な仕上がりをみせるシルクは養蚕に適した気候を持つイラン北部のカスピ海沿岸の村で生産されます。またウールは適度な脂肪の良質な羊毛から紡がれます。絨毯の地糸になるたて糸とよこ糸に使われる木綿はイランのオアシスのいたるところでとれます。

自然で染める

洗いざらしの藍染めや素焼きの茶碗の微妙な風合いを好む日本人が、使い古したペルシャ絨毯の色合いに感動をおぼえるのはそれが天然の草木により染色されているからです。鮮やかな赤はアカネの根、黄色はザクロの皮やサフランの花。ブドウの葉からはベージュ、青は藍など。古くからの独自の染色法や、微妙な組み合わせにより無数の色を出しているのです。

感性を描く

 

デザインの重要性は言うまでもありません。ペルシャの芸術家達は基本のパターンを頑固に維持しながら実に様々な多様性を見せてくれます。

方眼紙の一コマが絨毯のひと結びに相当するデザインボードを見ながら、織り職人が丹念に見事な図柄を織り上げていきます。

堅牢を結ぶ

 

百年を越えてなお、使用に耐えるその丈夫さは、確実で堅牢な結び方にあります。
大別してペルシャ結びとトルコ結びの2種類があります。いづれも前後2列に固く張られたたて糸にパイル(毛足)になるウールやシルクの糸を結びつけます。そうして結ばれたパイルの列の上によこ糸を2本通し、しっかりと糸をおさえます。

美しさだけでなく、その丈夫さが世界に評価される理由がここにあります。

歳月を織る

 

一枚の絨毯を織り上げるのに数年又は10年を越えることもあります。愛用の織り機を前にして、幾年月、職人は何を想い、何を願い、確実で単調な作業をつづけるのでしょうか。

織り機には水平式と垂直式があります。

織り機を地面に水平に置いて織る方式は現在では見かけることが少なくなりましたが、カシュガイ族など半遊牧的生活をする人たちが使っています。

ほとんどの町や村では垂直に織り機をたてて絨毯を織ります。織り上がるにつれ、職人が絨毯の下段から上段に昇っていく方法と、織り上がった部分を織り機の後ろに回していく方法があります。

美を仕上げる

ようやく織り上がった絨毯は、細部を点検しながらパイルの長さを均一に刈りそろえられます。そして専門職人が大量の水を使って洗うことにより、色を更に安定させ、制作中にパイルの間にたまったほこりやむだ毛などを洗い流します。

こうして、材料を集める人たち、糸を紡ぐ人、染める人、デザインを考える人、そして織る人、洗う人、運ぶ人、売る人まで実に多くの人たちの手を経て世界が認める一流品・ペルシャ絨毯が私達の手もとに届けられるのです。

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